現在進行中の事件などに関しては、本家およびはてなブックマークをご参照ください。

2009年05月02日

【写真】2組目13点目、Loughgall ambush@1987年

ベルファスト・テレグラフの写真特集、"A Conflict in Pictures" を見ていきます。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece

見出しに「2組目」と書いてあるエントリでは、本館での2番目の紹介記事で言及したものを扱っています。

なお、以下に貼り付けるURLは既に変更になっています(写真が差し替わっています)。このため、参照すべき写真をサムネイルのサイズにし、どういう写真なのかがわかる程度にした状態で添付しますので、それを参考に上記URLから探してください。




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13点目は事件現場……ようやく「生前の笑顔」でないものが……ああ、Loughgall ambush (1987年5月) だ、かんべんしてくれ。これはえぐいよー。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=13

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【写真】2組目14点目、シャンキル・ロードの炊き出し@1972年

ベルファスト・テレグラフの写真特集、"A Conflict in Pictures" を見ていきます。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece

見出しに「2組目」と書いてあるエントリでは、本館での2番目の紹介記事で言及したものを扱っています。

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14点目。おかあちゃんたちが炊き出しをしている光景。卵とかソーセージとかね。何かお祭りか、と思いきや、「シャンキル・ロードのUDAメンバーのための食事を用意するUDA支持者。1972年7月2日」。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=14

炊き出し担当までサングラス姿って(しかも室内)……。当時UDAは「非合法組織」ではなく、よって彼女らは非合法であるという後ろ暗い思いをしながら顔を隠して炊き出しをしているわけではないはずなのですが。この「女たちのサングラス」については、頭の片隅に置いておきたいと思います。何か読んでるときに出てきたら書く、という感じで。(UDAにしろUVFにしろ、基本「男たちの」だから、女性たちについてはあまり文章がない。ただし「左翼ゲリラ」のIRAは女闘士が何人もいました。)
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【写真】2組目15点目、「シンボル」不在の葬儀@1971年

ベルファスト・テレグラフの写真特集、"A Conflict in Pictures" を見ていきます。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece

見出しに「2組目」と書いてあるエントリでは、本館での2番目の紹介記事で言及したものを扱っています。

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一様に硬い表情で住宅街を集団で歩く人々。歩道に女性が1人いるかもしれないけど、30名ほどのこの集団は男性だけです。スーツにネクタイとか、ブレザー姿で、それなりにフォーマルな集まりだということが見ればわかります。そして彼らの何人かは手に棒状のもの――1秒ほど見つめればわかるように、ハーリングのスティックなのだけど――を持ったりしています。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=15

ここまで見てキャプションを。「Blackstaff川で銃殺体で発見されたジョン・ジョセフ・キャヴァナの葬儀に参列する人々。1971年1月27日」。

http://cain.ulst.ac.uk/sutton/chron/1971.html
27 January 1971
John Kavanagh (28) Catholic
Status: Civilian (Civ), Killed by: Irish Republican Army (IRA)
Found shot by Blackstaff River, off Roden Street, Belfast.

ベルテレの写真キャプションには書かれていないんですが、この人はIRAに殺されたカトリックです。

もう一度、写真を見ましょう。「アイリッシュ・トリコロール」など、「アイルランドのシンボル」がここにはありません。ハーリングのスティックを除いては。

この「シンボルの不在」の意味について、少しの間、考えてみてください。なぜここに、「彼ら」のシンボルがないのかを。「カトリック」が集団として「リパブリカン・ムーヴメント(つまりシン・フェインとIRA)」に染まっていたわけではない、ということを。
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【写真】2組目16点目、UDAの検問所@1972年

ベルファスト・テレグラフの写真特集、"A Conflict in Pictures" を見ていきます。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece

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「過激派ルック」の人々が14人、横に並んで道路を封鎖しています。キャプションは「モート・ロードのUDAの検問所。1972年6月8日」。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=16

1972年の6月というと非常に大きな動きがあった時期です。6月っていうか5月末ですが(29日)、Official IRAが停戦を宣言しています。彼らはこれを最後に武装活動から退いたわけで、これ単独でもNI紛争の上ではひとつの大きな動きでした(でも後からのあれこれで相対的には小さなことになっているかも)。

そして、先にも書いたようにIRA (Provisional IRA) が停戦しています。詳しく書けば、6月20日にドニゴールとデリーの境界のエリアで英政府とIRA代表団との会談があり(英政府側はNI担当大臣Whitelawの代理、IRAからはDavid O'Connell (Dáithí Ó Conaill) とジェリー・アダムズ【←ツッコミ入れたい人も、今はスルーしてください】)、「26日に停戦する」と22日に宣言、実際に26日に停戦しています。そしてその後、30日に警戒を高めたUDAが自身の no-go areas を作り始めます。(No-go areaとは「警察・軍立ち入り禁止エリア」のこと。そのエリア内ではパラミリタリーが警察の役割を勝手に果たす。)7月3日には、このno-go areaをめぐってUDAと北アイルランド警察(RUC)が衝突する事態となっています。そして7月7日には再度、英政府とIRAとの秘密会談(←リンク先、当時の記事)。しかしその時期も英軍によってカトリックの人が射殺されるなど、実際には「停戦」は看板だけという状況で、7月22日にはついに「ブラディ・フライデー」(後述)、事態は泥沼化しました。
http://cain.ulst.ac.uk/othelem/chron/ch72.htm#Jun
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【写真】2組目17点目、デリーのUDA@1972年

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17点目は「ロンドンデリー(デリー)のUDA。1972年9月30日」。ジーンズに覆面みたいな男たちが、何人かは手に棒を持って、住宅街の通りの真ん中を移動しています。「自警団」としての活動中のところを撮影したものでしょう。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=17
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【写真】2組目18点目、ロング・ケッシュ、ハンガーストライキ@1980年

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18点目はハンガーストライキ。といっても1981年のボビー・サンズのではありません。その前、1980年のブレンダン・ヒューズのハンストの参加者7人のうちの1人です。

彼(ら)はハンストに入る前にブランケット&ダーティ(ノー・ウォッシュ)・プロテストをやっていたので、髪も髭も伸び放題。写真は絶食してかなり経過してからロングケッシュの病院棟のベッドで撮影されたもの。密かに撮影されたこの写真が密かに持ち出されて、リパブリカンの印刷物として人々の目に触れ、「ハンスト」を伝えることとなります。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=18

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【写真】2組目19点目、攻撃されたバス車庫@1982年

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1982年4月28日に、アーマーのバス車庫がIRAに攻撃されたときのもの。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=19

彼らがどういう理屈をつけてバス車庫を焼いたのか、私は知りません。
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【写真】2組目20点目、エニスキレン@1987年

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1987年11月8日、エニスキレン。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=20

エニスキレンについては下記をご参照ください。
http://nofrills-nifaq.seesaa.net/article/115742584.html
1987年11月8日、日曜日。北アイルランドの西部、ファーマナ州最大の都市、エニスキレン。その日は英国の「戦没者追悼の日 (Remembrance Sunday: 第一次・第二次大戦の戦死者を追悼する)」で、エニスキレンでもほかの都市と同じように、街の戦没者慰霊碑のある広場で、追悼式典が執り行われようとしていた。エニスキレンは英陸軍の連隊が拠点としていた街で、その日、広場に集まっていたのは儀式のパレードを見るために出かけてきた一般市民で、その多くはプロテスタントの高齢者(戦中世代の人たち)だった。

午前10時45分、慰霊碑のすぐそばの建物が爆発した。建物の大きな壁が吹き飛び、一帯は瓦礫に覆われた。

爆弾を仕掛けたのはIRA (the Provisional IRA) だった。予告電話はなかった。

瓦礫の下に生き埋めになった人たちを、慰霊碑までパレードしてきていた軍人たちが救出するところが、追悼式典を取材にきた報道陣のカメラによって克明にとらえられている。
http://news.bbc.co.uk/onthisday/hi/dates/stories/november/8/newsid_2515000/2515113.stm
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【写真】2組目21点目、ミルタウン墓地@1987年

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エニスキレン爆弾事件は、ひとりのロイヤリストのガンマンを激怒させました。そのガンマンが起こした事件の写真が21点目。ミルタウン・マサカーです。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=21

1988年3月16日。6日にジブラルタルでSASによって射殺されたIRAメンバー3人の葬儀がベルファストのミルタウン墓地で行なわれていました。シン・フェインの幹部を含め、コミュニティの人たちが参列していたその葬儀を、ロイヤリストのガンマンは襲撃しました。参列者3人が死亡、4人が重傷。詳細は、葬儀襲撃犯のマイケル・ストーンについて書いたものをご参照ください。この人はいろいろと「香ばしい」ことになっているので、記事一覧も見づらいかもしれませんが。
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【写真】2組目22点目、武装勢力の襲撃に巻き込まれた女性の葬儀@1984年

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キャプションは、「メアリー・トラヴァースの葬儀での母ジョーンと姉(妹)のアン。メアリーの父トムは判事で、一緒に教会から歩いて帰る途中でIRAのガンマンに狙撃された。1984年」。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=22

http://cain.ulst.ac.uk/othelem/chron/ch84.htm
Sunday 8 April 1984
The Irish Republican Army (IRA) carried out a gun attack on Thomas Travers, then a Resident Magistrate, outside St Brigid's Catholic Church in Belfast. Travers was seriously injured in the attack but his daughter Mary Travers (22) was shot and killed.

IRAが「標的」とした判事は重傷を負い、一緒にいた娘さんが亡くなった、とのこと。

葬儀でのお母さんとお姉さんのベールを見ても明らかなことですが、被害者がカトリックであったことに注目してください。「判事」という職にあった体制側の人間は、カトリックであっても、IRAの「標的」だったのです。

北アイルランド紛争は、宗教紛争などではありません。宗派紛争でもありません。宗派対立が大きな位置を占めていたことは事実ですが(「カトリック」や「プロテスタント」が罵倒のためのレッテル貼りとして機能するほどに)、それがすべてではありません。
タグ:写真 資料 葬儀
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【写真】2組目23点目、ニューリー警察署攻撃後のイアン・ペイズリー(宗教家、政治活動家)@1985年

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「宗教」の話になったところで、23点目。イアン・ペイズリー(プロテスタント過激派、宗教家、政治活動家)です。1985年2月28日のニューリー警察署へのIRAの迫撃砲攻撃の現場で、テレビカメラに取り囲まれています。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=23

ニューリーの警察署への攻撃については、最近書いたような気もしますが、記事を探す手間を省きます。

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【写真】2組目24点目、ジェリーとマーティン@1987年

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23点目でイアン・ペイズリーが出てきた次は、ジェリー・アダムズとマーティン・マクギネスです。今回のベルテレさんのギャラリーは実に編集がよいです。いろいろな意味で。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=24

キャプションによると、これは1987年(5月)のパトリック・ケリーの葬儀でのものだそうです。パトリック・ケリーは、この写真特集2組目の13点目で扱われているLoughgall ambushでSASに射殺された8人のIRAメンバーのひとりです。というか、英軍にとって「脅威」だったIRAのthe East Tyrone Brigadeの司令官でした。
http://en.wikipedia.org/wiki/Patrick_Joseph_Kelly

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【写真】2組目25点目、IRAのベレー帽の男@1970年代初め


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次が……ベルテレのイヤミっぷりにお茶ふき。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=25

粒子の粗い、いかにも「引き延ばしました」調の写真に写っているのはIRAのベレーをかぶった3人の男性です。私には名前のわからない人と、昨年11月に亡くなったマーティン・ミーハンと……、えー、ジェリー・アダムズ

げふんげふん。

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【写真】2組目26点目、UDA@1972年

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「ブルームフィールドで行進を始める前に視察を受けるUDAメンバーたち。1972年9月30日」。100人くらいいるのかな、決して裕福ではない住宅街の路上に整列する黒ベレーにサングラスの男たち。歩道のところには高齢の女性の姿も確認でき、男たちの横、画面一番手前には10歳くらいでしょうか、男の子がいます。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=26

UDAは当時は非合法化されていなかったとはいえ、暴力集団でした。カトリック・コミュニティへの襲撃があり、上に書いたように警官との衝突もありました。狙撃、銃撃もやってました。でも、そのパレードは住宅街で行なわれ、歩道ではおかあちゃんたちが見守っている。

「テロ」と呼ばれるもの、「テロ組織」と呼ばれるものが、その社会にどういう「居場所」を持っているか、ということです。
タグ:資料 写真 UDA
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【写真】2組目27点目、UDAとオレンジ・オーダー@1972年

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26-leaders-200.jpg

「UDA幹部と同席するマーティン・スマイス師とビリー・ハル。1972年」。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=27

スマイス(写真一番左のサッシュの人)はプレスビテリアンの宗教者で、オレンジオーダーのグランドマスターですが、UUPの政治家でもありました。

っていうか:

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*参考書籍*

北アイルランド紛争についての英書

英語ではとても読みきれない(買いきれない、収納しきれない)ほどの本が出ていますが、筆者は特に下記の書籍を参照しています。
※画像にポインタを当てると簡単な解説が出ます。

031229416607475451970717135438
The IRA
Tim Pat Coogan
Loyalists
Peter Taylor
Killing Finucane
Justin O'Brien

北アイルランド紛争について、必読の日本語書籍
筆者はこのブログを書く前に、特にこれらの書籍で勉強させていただいています。

4621053159 4846000354
IRA(アイルランド共和国軍)―アイルランドのナショナリズム
アイルランド問題とは何か
鈴木 良平

北アイルランド紛争の歴史
堀越 智

IRA―アイルランドのナショナリズム(第4版増補)
鈴木良平

458836605X
暴力と和解のあいだ
尹 慧瑛
→「北アイルランド」での検索結果
→「Northern Ireland」での検索結果
* photo: a remixed version of "You are now entering Free Derry",
a CC photo by Hossam el-Hamalawy
http://flickr.com/photos/elhamalawy/2996370538/


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