現在進行中の事件などに関しては、本家およびはてなブックマークをご参照ください。

2009年05月02日

【写真】2組目22点目、武装勢力の襲撃に巻き込まれた女性の葬儀@1984年

ベルファスト・テレグラフの写真特集、"A Conflict in Pictures" を見ていきます。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece

見出しに「2組目」と書いてあるエントリでは、本館での2番目の紹介記事で言及したものを扱っています。

なお、以下に貼り付けるURLは既に変更になっています(写真が差し替わっています)。このため、参照すべき写真をサムネイルのサイズにし、どういう写真なのかがわかる程度にした状態で添付しますので、それを参考に上記URLから探してください。




21-funeral-200.jpg

キャプションは、「メアリー・トラヴァースの葬儀での母ジョーンと姉(妹)のアン。メアリーの父トムは判事で、一緒に教会から歩いて帰る途中でIRAのガンマンに狙撃された。1984年」。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=22

http://cain.ulst.ac.uk/othelem/chron/ch84.htm
Sunday 8 April 1984
The Irish Republican Army (IRA) carried out a gun attack on Thomas Travers, then a Resident Magistrate, outside St Brigid's Catholic Church in Belfast. Travers was seriously injured in the attack but his daughter Mary Travers (22) was shot and killed.

IRAが「標的」とした判事は重傷を負い、一緒にいた娘さんが亡くなった、とのこと。

葬儀でのお母さんとお姉さんのベールを見ても明らかなことですが、被害者がカトリックであったことに注目してください。「判事」という職にあった体制側の人間は、カトリックであっても、IRAの「標的」だったのです。

北アイルランド紛争は、宗教紛争などではありません。宗派紛争でもありません。宗派対立が大きな位置を占めていたことは事実ですが(「カトリック」や「プロテスタント」が罵倒のためのレッテル貼りとして機能するほどに)、それがすべてではありません。


タグ:写真 資料 葬儀
posted by nofrills at 15:10 | TrackBack(0) | 写真で見る北アイルランド紛争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。


この記事へのトラックバック




*参考書籍*

北アイルランド紛争についての英書

英語ではとても読みきれない(買いきれない、収納しきれない)ほどの本が出ていますが、筆者は特に下記の書籍を参照しています。
※画像にポインタを当てると簡単な解説が出ます。

031229416607475451970717135438
The IRA
Tim Pat Coogan
Loyalists
Peter Taylor
Killing Finucane
Justin O'Brien

北アイルランド紛争について、必読の日本語書籍
筆者はこのブログを書く前に、特にこれらの書籍で勉強させていただいています。

4621053159 4846000354
IRA(アイルランド共和国軍)―アイルランドのナショナリズム
アイルランド問題とは何か
鈴木 良平

北アイルランド紛争の歴史
堀越 智

IRA―アイルランドのナショナリズム(第4版増補)
鈴木良平

458836605X
暴力と和解のあいだ
尹 慧瑛
→「北アイルランド」での検索結果
→「Northern Ireland」での検索結果
* photo: a remixed version of "You are now entering Free Derry",
a CC photo by Hossam el-Hamalawy
http://flickr.com/photos/elhamalawy/2996370538/