現在進行中の事件などに関しては、本家およびはてなブックマークをご参照ください。

2009年05月02日

【写真】2組目15点目、「シンボル」不在の葬儀@1971年

ベルファスト・テレグラフの写真特集、"A Conflict in Pictures" を見ていきます。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece

見出しに「2組目」と書いてあるエントリでは、本館での2番目の紹介記事で言及したものを扱っています。

なお、以下に貼り付けるURLは既に変更になっています(写真が差し替わっています)。このため、参照すべき写真をサムネイルのサイズにし、どういう写真なのかがわかる程度にした状態で添付しますので、それを参考に上記URLから探してください。




14-funeral-200.jpg

一様に硬い表情で住宅街を集団で歩く人々。歩道に女性が1人いるかもしれないけど、30名ほどのこの集団は男性だけです。スーツにネクタイとか、ブレザー姿で、それなりにフォーマルな集まりだということが見ればわかります。そして彼らの何人かは手に棒状のもの――1秒ほど見つめればわかるように、ハーリングのスティックなのだけど――を持ったりしています。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/photo-galleries/article13909724.ece?ino=15

ここまで見てキャプションを。「Blackstaff川で銃殺体で発見されたジョン・ジョセフ・キャヴァナの葬儀に参列する人々。1971年1月27日」。

http://cain.ulst.ac.uk/sutton/chron/1971.html
27 January 1971
John Kavanagh (28) Catholic
Status: Civilian (Civ), Killed by: Irish Republican Army (IRA)
Found shot by Blackstaff River, off Roden Street, Belfast.

ベルテレの写真キャプションには書かれていないんですが、この人はIRAに殺されたカトリックです。

もう一度、写真を見ましょう。「アイリッシュ・トリコロール」など、「アイルランドのシンボル」がここにはありません。ハーリングのスティックを除いては。

この「シンボルの不在」の意味について、少しの間、考えてみてください。なぜここに、「彼ら」のシンボルがないのかを。「カトリック」が集団として「リパブリカン・ムーヴメント(つまりシン・フェインとIRA)」に染まっていたわけではない、ということを。
posted by nofrills at 14:00 | TrackBack(0) | 写真で見る北アイルランド紛争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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*参考書籍*

北アイルランド紛争についての英書

英語ではとても読みきれない(買いきれない、収納しきれない)ほどの本が出ていますが、筆者は特に下記の書籍を参照しています。
※画像にポインタを当てると簡単な解説が出ます。

031229416607475451970717135438
The IRA
Tim Pat Coogan
Loyalists
Peter Taylor
Killing Finucane
Justin O'Brien

北アイルランド紛争について、必読の日本語書籍
筆者はこのブログを書く前に、特にこれらの書籍で勉強させていただいています。

4621053159 4846000354
IRA(アイルランド共和国軍)―アイルランドのナショナリズム
アイルランド問題とは何か
鈴木 良平

北アイルランド紛争の歴史
堀越 智

IRA―アイルランドのナショナリズム(第4版増補)
鈴木良平

458836605X
暴力と和解のあいだ
尹 慧瑛
→「北アイルランド」での検索結果
→「Northern Ireland」での検索結果
* photo: a remixed version of "You are now entering Free Derry",
a CC photo by Hossam el-Hamalawy
http://flickr.com/photos/elhamalawy/2996370538/


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