※以下は概説です。詳細については別の項目を立てます。
"UDA" は、the Ulster Defence Association, 日本語で「アルスター防衛協会」のことです。彼らは武装活動においては the Ulster Freedom Fighters (UFF: 「アルスター自由の戦士団」) という名称を使っています。「紛争」の文脈では「UFFはUDAの同意語」と見なされ、報道などでは単に「UDA」といえばUDAとUFFを包括的に表します(「UDA/UFF」という表記もありますが)。読み方はアルファベットそのまま「ユー・ディー・エイ」、「ユー・エフ・エフ」です(「ユーダ」などとは言いません)。

組織の標語はQuis Separabit, ラテン語で "Who will separate [us]?" という意味です。左図はベルファストにあるUDAの壁画の一部で(元の写真、Creative Commons Attribution-ShareAlike 2.5 License, en.wikipediaユーザーのAsterionさんによる)、「誰が(われわれを)分かつことがあろうか」というこの標語がはっきり確認できます。なお、紋章の中央にある「赤い手」は「アルスター」のシンボルです。
UDAの始まりは1971年9月です。それまで各地にあった「ユニオニスト/ロイヤリスト」の地域ごとの自警団をまとめるアンブレラ組織として発足しました。
発足後、UDAは「カトリック」のコミュニティを標的にした攻撃を重ねてきたし、1973年には「ナショナリスト」の政治家の暗殺も行なっていますが、英国で「非合法のテロ組織」に指定されたのは1992年です。それまではUDAは「非合法組織」ではありませんでした。(ちなみに、IRAはずっと前から非合法組織に指定されていました。)
アルスター大学のCAINデータベース内にあるSutton Index of Deaths(→このデータベースの見方の説明)によると、「紛争」においてロイヤリスト武装組織が殺した1,020人のうち、UDAが殺したのが112人、UFFが殺したのが147人、RHDが8人、合計で267人です。
また、Suttonでcross tabulationでStatus summaryとOrganisationで確認すると、UDAが殺した112人のうち、リパブリカンの武装組織メンバーはわずか2人で、一般市民が78人、ロイヤリスト武装組織メンバーが29人、英治安当局者が3人です。UFFのほうは、147人のうち、リパブリカン武装組織メンバーは9人、ロイヤリスト武装組織メンバーは8人、一般人は130人殺しています。
つまり、両者合わせて259人の犠牲者のうち、「敵」であるはずのリパブリカン武装組織メンバー(つまりIRAやINLAなどのメンバー)は11人、同じ側であるはずのロイヤリスト武装組織メンバーが37人、一般市民が208人です。
これが、彼らの言う「戦争 war」だそうです。
参照先:
http://en.wikipedia.org/wiki/Ulster_Defence_Association
http://cain.ulst.ac.uk/othelem/organ/uorgan.htm#uda