現在進行中の事件などに関しては、本家およびはてなブックマークをご参照ください。

2008年12月24日

【質問27】 「紛争」中のベルファスト、クリスマスの様子は。

【回答27】
今から30年前、1978年のクリスマスの時期にオーストラリア人記者がベルファストを取材したフィルムが、BBCのサイトにアップされています。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7792046.stm

英語の聞き取りなんかできなくっても見ればわかりますから、見てください。

1978年というと、こういう年です。
http://cain.ulst.ac.uk/othelem/chron/ch78.htm


【続きを読む】


posted by nofrills at 12:00 | TrackBack(0) | 北アイルランド紛争FAQ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

2008年12月23日

【質問26】 「ロング・ケッシュのホワイトノイズ」とは。

【回答26】
1970年代、北アイルランドでは治安当局から「カトリック」の人々に対し、実質的に「拷問」と呼べることが行なわれていました。その「拷問」で音が使われました。

EntertainmentWhite noise in a white room
White noise in a white room
White noise in a white room
White noise in a white room

Trapped in heaven life style (locked in Long Kesh)
New looking out for pleasure (H-block torture)
It's at the end of the rainbow (White noise in)
The happy ever after (a white room)

Dirt behind the daydream
Dirt behind the daydream
The happy ever after
Is at the end of the rainbow

―― Gang of Four, "Ether"
http://ie.youtube.com/watch?v=-dH6FltYv2Q

上記は1979年にリリースされた英国のバンド、Gang of Fourのファースト・アルバム、Entertainment! の1曲目です。「ロング・ケッシュのホワイトノイズ」のこと、「Hブロックの拷問」のことをストレートに歌詞にした(ちなみにこのGang of Fourは中国の「四人組」のことではなく、ポスト構造主義の「四人組」のほう。バルトとかフーコーとか。)

「ロング・ケッシュ Long Kesh」は「メイズ刑務所 Her Majesty's Prison Maze」の旧称・愛称(刑務所に「愛称」もあったものではありませんが、「通称」というより「愛称」に近いと思います)。元々は英空軍の施設だった場所が、1971年の「インターンメント」導入(英軍とRUCのデメトリウス作戦)で「ナショナリスト/リパブリカンの隔離施設・強制収容所」として利用されるようになったものです。(「インターンメント」、「デメトリウス作戦」については稿を改めます。)

当初はつかまえてきた人たちは英空軍時代のニッセンハット(かまぼこ型の建物)に放り込まれていたのですが、1970年代半ばに鉄筋コンクリートのHの字型の刑務所然とした建物(「Hブロック H-blocks」と呼ばれます)が建設され、このHブロックで1981年のハンガーストライキをはじめとする多くのことが起こります。それはまた稿を改めて。

1971年8月、デメトリウス作戦で身柄を拘束された人たちの中に、施設に到着するやいなや頭に袋をかぶせられた人たちが14人います。彼らは "hooded men" とか、"Guineapigs" と呼ばれています。彼らは英治安当局の「尋問方法」の実験台にされました。

この「尋問方法」が、一般に「5つのテクニック the five techniques」と呼ばれている方法です。

英語版ウィキペディアから:
http://en.wikipedia.org/wiki/Five_techniques

【続きを読む】
posted by nofrills at 17:00 | TrackBack(0) | 北アイルランド紛争FAQ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

【事件・人 質問1】 ハロッズ爆弾事件とは。

【事件・人 回答1】
1983年12月17日土曜日の昼過ぎ、クリスマス・プレゼントの買い物客で賑わうロンドン西部の高級百貨店「ハロッズ」の脇に停められていた車が爆発、一般人のほか警官やジャーナリストを含む6人が死亡、90人あまりが負傷しました。Provisional IRAの爆弾攻撃でした。

80年代はイングランド、特にロンドンで何度もIRAの爆弾攻撃が行なわれています。この事件もそのひとつですが、「クリスマス前の買い物」という点でいっそうショッキングなものとして受け止められました。

※左の画像は、新聞スタンドに立てられた「今日のトップニュース」のボード。「ハロッズ爆弾――私たちが忘れることのない日」。

■参照記事:
ウィキペディア:
http://en.wikipedia.org/wiki/Harrods_bombing

CAINデータベース:
http://cain.ulst.ac.uk/othelem/chron/ch83.htm#Dec
http://cain.ulst.ac.uk/sutton/chron/1983.html

当時の報道:
BBC ON THIS DAY: 17 December 1983: Harrods bomb blast kills six
http://news.bbc.co.uk/onthisday/hi/dates/stories/december/17/newsid_2538000/2538147.stm
爆発直後の現場の様子の映像、現場に居合わせた人のインタビューも。また、ハロッズの後に爆弾予告電話がなされたオクスフォード・ストリートの封鎖の様子も(ただしこちらは偽の予告電話)。

事件後、レーガン米大統領からサッチャー英首相への書簡:
http://www.margaretthatcher.org/archive/displaydocument.asp?docid=109279

以下、2007年12月に本館に書いたものの転記(加筆などあり):
http://nofrills.seesaa.net/article/73366651.html

【続きを読む】
posted by nofrills at 07:00 | TrackBack(0) | 主な事件・人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

2008年12月22日

【リパブリカンFAQ 質問6】 IRAは「自爆」攻撃はしていませんよね。

【リパブリカンFAQ 回答6】
攻撃者が生還しないことを前提とした爆弾攻撃という意味では、1990年代初めに短期間だけですが、PIRAも「自爆」攻撃を行なっています。

「自爆」といっても、正確には、自爆の志願者に自爆させる(あるいは自爆を志願するように仕向ける)のではなく、死にたくない人に無理やり命を賭した攻撃をさせるという形です。英語ではproxy bomb(代理人による爆弾攻撃)と表されます。
http://en.wikipedia.org/wiki/Proxy_bomb

ウィキペディア英語版によると:

最初のプロクシ・ボム攻撃は、1990年にPIRAのアーミー・カウンシル(軍事評議会)に承認されました。英治安機関の人か英軍のシンパを「プロクシ」とし、その家族を人質にとり、当人に標的まで車爆弾を運転させるという計画です。そして1990年10月24日、武装して覆面をしたIRAメンバーが、英軍の基地で調理担当の仕事をしているパトリック・ギレスピーという男性(カトリック)の家族を人質にとりました。ギレスピーは1000ポンド(450キロ)の爆発物を積んだ車を運転させられ、アイルランドの南北のボーダーにある英軍の検問所へ。そして、車が検問所に到着したとき、遠隔操作で爆発物のスイッチが入れられ、ギレスピーは死亡、検問所にいた英兵5人も死亡しました。

この事件を報じるBBCのニュース:
http://www.youtube.com/watch?v=c66OvsRYmMA


【続きを読む】
posted by nofrills at 22:00 | TrackBack(0) | リパブリカンFAQ (IRA, INLA等) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

【リパブリカンFAQ 質問5】 「IRAのマニュアル」が公開されていると聞いたのですが本当ですか。

【リパブリカンFAQ 回答5】
はい。公開されています。いつ、誰が公開したのかは私は知りませんが、the Provisional IRA (いわゆる「IRA」) がメンバーに渡していた訓練マニュアル "The Green Book "が、ネットで誰でも閲覧できるようになっています。閲覧したい方は、ウィキペディア英語版のエントリの末尾、"Further Information/Sources" (External Links) からどうぞ。ウェブ検索の結果もつけておきます。ウィキペディアに記載されているURLがつながらない場合などはウェブ検索からどうぞ。

また、この「マニュアル」については、ウィキペディア英語版での説明も非常に詳細で丁寧です。注のつけかたもしっかりしています。

それと、このNI FAQブログで各記事のあとに表示されるようにしてある参考文献のひとつ、Tim Pat Cooganの "The IRA" でのこの「マニュアル」についての部分は、CAIN(アルスター大学)に抜粋掲載されていますので、本を買わなくても読むことができます。
http://cain.ulst.ac.uk/othelem/organ/docs/coogan/coogan93.htm

【続きを読む】
posted by nofrills at 07:00 | TrackBack(0) | リパブリカンFAQ (IRA, INLA等) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

2008年12月14日

【リパブリカンFAQ 質問4】 「共和主義シン・フェイン」とは。

【リパブリカンFAQ 回答4】
「共和主義シン・フェイン」は、「シン・フェイン」で日本語でウェブ検索すると上位に表示されると思いますが、「シン・フェイン」とは別の政治組織です。

【REP FAQ 1】の板書のような図で、the Provisional IRAの下に、「1986年、政治方針をめぐり分派」としてthe Continuity IRAの成立を説明しています。

このContinuity IRAの事実上の「政治ウィング」とされているのが「共和主義シン・フェイン (the Republican Sinn Fein: RSF)」です(RSFは公にこれを否定していますが)。英国では政党としては非合法ではありません(CIRAは非合法です)。一方で、1994年にProvisional IRAについての「テロ組織」指定を解除した米国は、CIRAとRSFについてはその指定を解除していません
As part of ongoing U.S. efforts against terrorism, the Secretary of State has designated the terrorist group Continuity Irish Republican Army, along with its aliases Continuity Army Council and Republican Sinn Fein, as a foreign terrorist organization under the Immigration and Nationality Act.


さて、【REP FAQ 1】では「1986年、政治方針をめぐり分派」と簡単に書いただけですが、PIRAからCIRAが、シン・フェインからRSFが分派する理由となったのは、「議会の拒否」すなわち「議会欠席主義 abstentionism」をめぐる根本的な対立です。

【続きを読む】
posted by nofrills at 12:00 | TrackBack(0) | リパブリカンFAQ (IRA, INLA等) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

2008年12月13日

【リパブリカンFAQ 質問3】 IRAと「レジスタンス」の違いは?

【リパブリカンFAQ 回答3】
※このエントリは、いただいた質問を元に書いています。

“「テロ」か「レジスタンス」か”という用語法が前提にあるものとして回答します。(「レジスタンス」というものを厳密に定義したいとかではなく。)

「IRA」の行動は、その「IRA」が1969年の分裂前であろうと、分裂後のOfficials, Provisionalsであろうと、さらに分派したINLA, Continuity IRA, Real IRAであろうと――これらを総称して「リパブリカン」(実態としての「武装主義のナショナリズム」を表す)と言いますが――、彼らの考え方に沿うならば、「レジスタンス」と呼ぶべきでしょう。(私自身は自分の文章として書くときは、「テロ」とも「レジスタンス」とも呼ばず、単にIRAの用語である「武装闘争 armed struggle」を使ったり、より中立的で具体的な「攻撃 attack」などを使ったりしますが。)

また、必ずしも彼らの考え方に沿っていなくても彼らの行動を「レジスタンス」と書いている例として、Globalsecurity.orgの記述を引きます。(太字強調は引用者による。)
http://www.globalsecurity.org/military/world/para/ira.htm
... the Provisional IRA was the largest of the three republican armed resistance groups.

The policies of Sinn fein under the leadership Gerry Adams from 1994 to 1998 led to a split in the Provisional Irish Republican Army during the fall of 1997, with one faction accepting the new Good Friday Agreement, and the New or Real IRA continuing armed resistance to British partition.


Globalsecurity.orgが、Provisional IRAとReal IRAについて、"armed resistance" という記述をしていることに意外な印象を受ける方が多いのではないかと思います。私も意外な印象を受けました。

Globalsecurity.orgは「中立」の立場での記述でしょうが、実際に英語サイトを対象に「IRA resistance」で検索すると、用語法をめぐる議論を回避するために形式的に両論併記したい場合に "IRA resistance/terrorists" などと表している例もなくはないですが、「リパブリカン」のスタンスの記述で "IRA resistance" と書かれている例が多く確認できます。

つまり、「北アイルランド紛争」の「終わり」を1998年ベルファスト合意とし、それまでの「紛争」におけるIRAの行動 (actions) が――すなわち「統一アイルランドのための武装闘争」が「紛争」の軍事的側面の中心であると位置付ける場合(こういう見方が主流なので何ももったいぶって書かなくてもいいんですが)、その「IRAの行動」は「テロリストのもの」なのか「レジスタンスのもの」なのか、どちらかひとつを選択せよ、ということになると、「どちらの呼び方をするかは政治的なスタンスによるものだ」としか言いようがありません。

むろん、英国側はIRAを「テロ組織 terrorist organisation」として「テロ法 the Terrorism Act」で「特定組織」にしています (→現行法ではthe Terrorism Act 2000のPart II参照。the Terrorism Act自体は2006年に改定されているが、「特定組織」の部分は、2006年の法でも2000年のものをそのまま参照している)。しかし、そのことが示す「事実」は、英国側の公的なスタンスがそれである、ということだけです。普遍的事実ではありません。この点について少し考えると、そもそも「普遍的にテロリスト」とかいうものがあるのかどうかという話になってしまうので、今は先に進みます。(「普遍的にテロリスト」なるものがあるのかどうかは、このサイト全体で、多分扱わないと思います。無料で公開するという前提で扱えると私が考えている範囲を軽く超えてしまうので。よって、この点についてのご質問などには応じられないと思います。)

IRAの活動が何なのか、という点については、IRAの考え(主義主張)のベースを知ることが前提になります。

前置きが長くなりましたが、以下が本論です。

【続きを読む】
posted by nofrills at 23:00 | TrackBack(0) | リパブリカンFAQ (IRA, INLA等) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

【リパブリカンFAQ 質問2】 IRAでウェブ検索すると……どういうことッスかこれは。

【リパブリカンFAQ 回答2】
IRA入会の案内のことですか。
日本支部と思われるグループのことですか。
米国支部の日本語資料と思われるもののことですか。
口座があるのに凍結されてもいないのではということですか。
投資として扱われているという恐ろしい現実のことですか。
関連が疑われる雑誌は、あまりにも多いということですか。
航空機はやばいんじゃないのという話ですか。
ラジオまであるらしい、頭が痛いゼ、ということですか。
「爆発」に快感を覚えるようになるかもしれない恐ろしいゲームのことですか。
新宿歌舞伎町にあるらしいアジトと思われるもののことですか。

※このエントリは、ネタです。

【続きを読む】
posted by nofrills at 00:00 | TrackBack(0) | リパブリカンFAQ (IRA, INLA等) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

2008年12月12日

【ロイヤリストFAQ 質問5】 ビリー・ライトという人物とその殺害について、もう少し詳しく。

【ロイヤリストFAQ 回答5】
LVFのリーダー、ビリー・ライトは、1997年12月27日、メイズ刑務所内で射殺されました。ビリー・ライトという人物については、殺害実行犯の1人が自殺した2007年6月の本館でのエントリ、「不都合な真実を知っているかもしれない男の都合のよいタイミングでの自殺」を参照……ってリンクを置いておいてもあんまりクリックされないようなので、以下に、このエントリからビリー・ライトについての部分を抜き出してコピペしておきます。2007年6月の記事だから、「最新」ではないのだけど。

※以下、本館からのコピペ(最後まで)


……ともあれ、ビリー・ライトというのがどういう人物だったのかを簡単に記しておこうと思う。

ビリー・ライトは1960年、イングランドのウルヴァーハンプトンに生まれたアイリッシュ・プロテスタントである。彼が物心つくまえに家族は北アイルランド、サウス・アーマーのナショナリストが多い地域に引っ越し、彼はそこで育った。両親はプロテスタントだったが過激なロイヤリストではなく、彼自身、子供の頃は近所の子たちと一緒にナショナリストのスポーツであるゲーリック・フットボールをして遊んだりしていたそうだ。(1960年代半ばごろまでは、「紛争」は「ごく一部の過激派のもの」でしかなかった。セクタリアン・ディヴァイドもまだそんなにきつくなかったのだ。)

しかし、1960年代半ばにプロテスタントによるカトリック襲撃事件などが多発するようになり、1969年にIRAがOfficialとProvisionalに分離し、PIRAの「武装闘争」が本格化して「紛争」が始まるといった時代のなかで、ビリー少年の「ロイヤリスト」としての方向も決定付けられていく。

【続きを読む】
posted by nofrills at 00:00 | TrackBack(1) | ロイヤリストFAQ (UDA, UVF等) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

2008年12月11日

【ロイヤリストFAQ 質問4】 LVFって何ですか。

【ロイヤリストFAQ 回答4】
※以下は概説です。詳細については別の項目を立てます。

"LVF" は、the Loyalist Volunteer Forceのことです。日本語にすれば「ロイヤリスト義勇軍」となりますが、特に訳語で表されてはいないように思います。読み方は「エル・ヴィー・エフ」です。

LVFはUVFから分派した「ロイヤリストの超過激派」です。1994年10月にロイヤリスト武装組織が一斉に停戦 (ceasefire) したのですが、これに反対していた人々が独自の組織として立ち上げた組織です。(むろん、LVFは1998年のグッドフライデー合意にも反対しています。)

で、今は概略だけをざっと述べ、詳細はまたおいおいということにさせていただきたいのですが、LVFは1996年7月の「ドラムクリー紛争 Drumcree dispute」のときにカトリックの一般市民(タクシー運転手)を射殺し、その存在が知れ渡ったようです。1997年6月に英国で非合法テロ組織に指定されました。

リーダーは1960年生まれのビリー・ライトというミリタントで、UVFでの活動歴もいろいろとあったのですが、最終的には1997年3月に脅迫容疑で起訴されて有罪になり、懲役8年を宣告され、メイズ刑務所(ロング・ケッシュ:パラミリタリー専用の刑務所)に収監されます。メイズで彼は「LVFは他のロイヤリスト組織とは別の棟に入れろ」と要求、これが通って(一緒にしておくと大変なことになるという前提はあります)、LVF専用棟が用意されましたが、事件はここで起こります。


【続きを読む】
posted by nofrills at 23:00 | TrackBack(0) | ロイヤリストFAQ (UDA, UVF等) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

2008年12月09日

「コメント投稿用専用エントリ」を作りました。他

予定より1週間ちょっと遅くなりましたが、コメント投稿が有効になるようにしました。といっても、各エントリのコメント欄を開放すると「何というカオス」になることは目に見えているので(今でも、私ひとりの頭の中とメモ書きだけでも充分にカオスなのです、実は)、下記URLを「コメント投稿専用エントリ」とし、ご指摘・ご質問はそこに一元的にご投稿していただくということで進めたいと思います。このほうが確実にご指摘を反映できますので。
http://nofrills-nifaq.seesaa.net/article/110930149.html

また、各エントリのトラックバックですが、コメント専用エントリの稼動にあわせてONにしました。(ただし、時事的な要素が絡むとspam, spam, spam, egg, bacon and spamな状態になることは本家で経験しちゃったりなんかしてるので、トラバの表示は承認制です。)

しばらくこの形でやってみて、不便なところがあればまた直す、ということで進めたいと思います。よろしくお付き合いください。
posted by nofrills at 01:30 | 事務的なご連絡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

【ご指摘、ご質問などはこのエントリのコメント欄にご投稿ください。】

このFAQを始めてしばらく経ちました。この感じでやっていこうと思うのですが、そうするとページ数(エントリ数)がものすごく多くなる上に、重複する話題が必ず出てくるので、すべてのエントリのコメント欄をオープンにすると収拾がつかない状態になりうるということは明らかです。

よって、コメントの投稿はそれ専用のエントリを設けて、そこにご投稿していただくようにしたほうがよいだろうと判断しました。

このエントリがコメント投稿専用のエントリです。

http://nofrills-nifaq.seesaa.net/ について、ご指摘やご質問がおありの場合は、下記の「例」のような形式で、このエントリにご投稿ください。
【続きを読む】
posted by nofrills at 01:00 | Comment(1) | ご質問など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

2008年12月08日

【ロイヤリストFAQ 質問3】 UVFは1966年結成ですか。もっと古いんじゃないですか。

【ロイヤリストFAQ 回答3】
「北アイルランド紛争」においてIRA (特にProvisional IRA)に次いで多くの人々を殺したロイヤリスト武装組織、UVF (the Ulster Volunteer Force) は、組織名は「昔のUVF」から取っていますが、組織としては別のものです。

「昔のUVF」とは、1912年に「アイルランド自治法 Home Rule」に反対して、エドワード・カーソンやジェイムズ・クレイグといったUUP (Ulster Unionist Party) の有力な政治家によって結成されたユニオニストの武装組織、the Ulster Volunteers(翌1913年にthe Ulster Volunteer Forceとして組織化)です。

現代のUVFは、この1910年代のUVFの「後継者」を自認していますが、組織としての直接の関係性はありません。ぶっちゃけ、「勝手に名乗っている」状態ととらえて問題はないと思います。

【続きを読む】
posted by nofrills at 22:00 | TrackBack(0) | ロイヤリストFAQ (UDA, UVF等) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

【ロイヤリストFAQ 質問2】 UVFって何ですか。

【ロイヤリストFAQ 回答2】
※以下は概説です。詳細については別の項目を立てます。

"UVF" は、the Ulster Volunteer Force, 日本語で「アルスター義勇軍」のことです。読み方はアルファベットそのまま「ユー・ヴィー・エフ」です。

UVF Forever and Ulster組織の名称に「アルスター」が含まれていることからもわかるとおり、この組織は「ユニオニスト/ロイヤリスト」側の武装組織です。構成員は「プロテスタント」です。

組織の標語はFor God and Ulster, 「神とアルスターのために」。左図はベルファストにあるUVFのC Company, 1st Battalionの壁画で(元の写真、Creative Commons Attribution-ShareAlike 2.0 License, flickrユーザーのShiraz Chakeraさんによる)、覆面・黒の上下・白ベルトに武器(銃の種類は、見る人が見れば絵から特定できると思います。私には無理ですが)といういでたちの「義勇兵 volunteers」が守るようにして取り囲んでいるエンブレムの下半分に、この標語が書かれているのが確認できます。なお、紋章の中央にある「手」は「アルスター」のシンボルです。エンブレムの上に並んでいる5人は「戦死者」で、それぞれの肖像画に、"Vol. R. McIntyre" といったように――つまり「R. マッキンタイア義勇兵」といったように名が記されています。

UVFの始まりは1960年代後半です。ベルファスト西部のシャンキル・ロードのあたりや東ベルファストといった「プロテスタント」のコミュニティで人員が集まり、1916年のイースター蜂起から50年で「ナショナリスト」が蜂起を記念した1966年5月にIRA(当時はただの「IRA」、1969年に分派してProvisional IRAとOfficial IRA)に対し「宣戦布告」を行い、「カトリック」を標的とした攻撃を本格的に開始します。(実際にはこの当時のIRAはかなり弱体化していて、「敵」と見なせるほどの脅威だったのかどうか疑問もあるようですが。)

【続きを読む】
posted by nofrills at 21:00 | TrackBack(0) | ロイヤリストFAQ (UDA, UVF等) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。

【ロイヤリストFAQ 質問1】 UDAって何ですか。

【ロイヤリストFAQ 回答1】
※以下は概説です。詳細については別の項目を立てます。

"UDA" は、the Ulster Defence Association, 日本語で「アルスター防衛協会」のことです。彼らは武装活動においては the Ulster Freedom Fighters (UFF: 「アルスター自由の戦士団」) という名称を使っています。「紛争」の文脈では「UFFはUDAの同意語」と見なされ、報道などでは単に「UDA」といえばUDAとUFFを包括的に表します(「UDA/UFF」という表記もありますが)。読み方はアルファベットそのまま「ユー・ディー・エイ」、「ユー・エフ・エフ」です(「ユーダ」などとは言いません)。

UDA mural in Shankill, Belfast組織の名称に「アルスター」が含まれていることからもわかるとおり、この組織は「ユニオニスト/ロイヤリスト」側の武装組織です。構成員は「プロテスタント」です。

組織の標語はQuis Separabit, ラテン語で "Who will separate [us]?" という意味です。左図はベルファストにあるUDAの壁画の一部で(元の写真、Creative Commons Attribution-ShareAlike 2.5 License, en.wikipediaユーザーのAsterionさんによる)、「誰が(われわれを)分かつことがあろうか」というこの標語がはっきり確認できます。なお、紋章の中央にある「赤い手」は「アルスター」のシンボルです。

UDAの始まりは1971年9月です。それまで各地にあった「ユニオニスト/ロイヤリスト」の地域ごとの自警団をまとめるアンブレラ組織として発足しました。


【続きを読む】
posted by nofrills at 20:00 | TrackBack(0) | ロイヤリストFAQ (UDA, UVF等) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

※誤訳・誤記・誤変換などのご指摘やエントリの内容についてのご質問などは、
コメント投稿専用エントリのコメント欄にお寄せください。





*参考書籍*

北アイルランド紛争についての英書

英語ではとても読みきれない(買いきれない、収納しきれない)ほどの本が出ていますが、筆者は特に下記の書籍を参照しています。
※画像にポインタを当てると簡単な解説が出ます。

031229416607475451970717135438
The IRA
Tim Pat Coogan
Loyalists
Peter Taylor
Killing Finucane
Justin O'Brien

北アイルランド紛争について、必読の日本語書籍
筆者はこのブログを書く前に、特にこれらの書籍で勉強させていただいています。

4621053159 4846000354
IRA(アイルランド共和国軍)―アイルランドのナショナリズム
アイルランド問題とは何か
鈴木 良平

北アイルランド紛争の歴史
堀越 智

IRA―アイルランドのナショナリズム(第4版増補)
鈴木良平

458836605X
暴力と和解のあいだ
尹 慧瑛
→「北アイルランド」での検索結果
→「Northern Ireland」での検索結果
* photo: a remixed version of "You are now entering Free Derry",
a CC photo by Hossam el-Hamalawy
http://flickr.com/photos/elhamalawy/2996370538/